鈴木桂一郎アナウンス事務所
ニュース, ナレーション, 司会, 歌舞伎, お茶, 俳句, 着物, 元NHKアナウンサー
俳句 なんでも一句
句会浄土
平成30年3月31日
かつて、NHK松山放送局に勤務していた頃、BS放送で、俳句王国と言う番組を3年担当した。八木健アナウンサーの後を継いで、二代目の司会者として登用された。毎週土曜日に、11時からの放送で、俳句の先生である主宰を、毎週一名お願いして、6人の句会参加者による、テレビ句会を行うと言う番組だった。正直に言って、肉体派アナウンサーの私には、俳句など全く興味がなく、感心すらなかった。でも司会をやる以上は、俳句を勉強しようと、松山に行く前に、紀伊国屋書店で、カラー擦りの大型5冊組の歳時記を2万円出して、購入し、早速季語から入って、俳句の勉強を始めようとした。ところが、番組の担当PDは、「俳句を勉強するな、俳句を作るな」、と強く迫った。俳句番組を担当するなら、自分でも俳句を作らないと、勉強にならないし、主宰の話にもついていけないと反論したが、俳句を作ると、自己主張が出て来て、主宰とタイマンを張るようになる。自分の考え方をどうしても主張するようになる。司会者は、ずっと素人でいてほしい。素人目線で、司会をして欲しい、そして、主宰から、面白い話をインタビュアとして聞き出して欲しい、素人ならではの聞き役に徹して欲しいと、懇願された。3年間、代表的な俳人の句集を読み、毎月出版される俳句雑誌に目を通し、歳時記を読みこんで俳句を学び、更に、番組で、句会参加者の俳句についての主宰の感想を聞いたりして、主宰の基本的な俳句の考えを聞いた。こうして俳句の知識は、飛躍的に伸びて行った。この間PDとの約束を守り、一句も作らなかった。
松山から俳句王国を制作していたディレクター達が、東京に戻り、月に一度、BS句会を行っていると聞き、私も参加したいと申し出て、句会に参加するようになった。熱心とは言えないが、月一日俳人として、句作を始めた。今回、BS句会提出句に、説明を加えて、アップしてみた。
俳句は、心の日記である。その一瞬、一瞬に、自分の頭、心は、何を考え、何に興味を持っていたのか、日記、いやメモ代わりに俳句を作る事にしている。瞬間的に死んでいく自分の心を残しておきたいのだ。昨日の、同じ時間、何を考えていたのか、もう忘れているのだから。